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インサイダー取引

インサイダー取引

Policy(提言・報告書) 税、会計、経済法制、金融制度 インサイダー取引規制の見直しについての意見

インサイダー取引

総論
重要事実を知る前に締結された契約の履行や決定された計画(いわゆる「知る前契約」)の実行として、売買を行う場合は、インサイダー取引規制の適用除外である(金商法166条6項8号)が、その対象となるのは有価証券の取引等の規制に関する内閣府令59条1項に列挙された、「書面による契約をした者が、当該契約の履行として当該書面に定められた当該売買等を行うべき期日又は当該書面に定められた当該売買等を行うべき期限の10日前から当該期限までの間において当該売買等を行う場合」、「信用取引の履行として金融商品取引所又は認可金融商品取引業協会の定める売付け有価証券又は買付け代金の貸付けに係る弁済の繰延期限の10日前から当該期限までの間において反対売買を行う場合」等の場合に限られている。
しかし、重要事実を知る前に売買当事者間で契約を締結し、恣意的な売買が行われないものであれば、「知る前契約」が成立する場面を限定する必要はない。「知る前契約」の範囲を重要事実を知る前に売買当事者間で一定の要件を満たす売買契約を締結し、その履行として、恣意性なく売買実行する場合一般に広げるべきである。

自己株式の取得・処分
企業としては常に未公表の重要事実を保有している可能性があるため、自己株式を取得・処分するにあたり、特に四半期開示が制度化されて以来、ほとんどの時期がインサイダー取引規制に抵触するおそれがある期間となっている。そのため、自己株式の取得・処分は実務上、東証ToSTNeTか信託を通じて行われるのが通常である。そのうち、信託を通じての取得については、「インサイダー取引規制に関するQ&A」(金融庁・証券取引等監視委員会 2008年11月18日)により、「当該上場会社が契約締結後に注文に係る指示を行う場合であっても、指示を行う部署が重要事実から遮断され、かつ、当該部署が重要事実を知っている者から独立して指示を行っているなど、その時点において、重要事実に基づいて指示が行われていないと認められる場合」等は適用除外とされている。しかし、実務上は当該企業の財務情報を扱う部署と、信託等の運用に係る指示を行う部署との間で、情報が完全に遮断されていることを立証するのは困難な場合も多い。そのため、当該適用除外規定に該当すると判断される場合は非常に限られており、信託を通じた自己株式の取得・処分についても、極めて硬直的な形でしか行えず、機動的な対応が不可能である。
重要事実発生前に、枠・期間等、売買内容が特定されている場合ないし売買内容の決定方法が予め定められている場合には、その後に重要事実があったとしても、当該定めに則った自己株式の取得・処分については恣意性が排除されていることは明らかであるので、インサイダー取引規制の適用除外とすべきである。

持株会
現行制度においては、役員・従業員持株会による株式取得はインサイダー取引規制の適用除外とされているが、加入や口数の変更、入会資格喪失による退会時の端数持分売却などは適用が及ぶと考えられており、社内の職位等によっては、役員や従業員は常に重要事実を知り得る状態であることからすれば、持株会の加入や口数の変更は困難な状況にある。
一定の社内ルールに基づく従業員持株会の加入や口数の変更については、原則として適用除外とすべきである。また、役員持株会については、役員就任時に加入することや口数を変更することについても、一定の社内ルールが予め決まっているならば、当該定めに従った加入や口数の変更については、適用除外とすべきである。
入会資格喪失による退会時の端数持分売却についても、重要事実発生時には退会まで時間がかかることになるので、一定の社内ルールに基づいて行う、入会資格喪失による退会に伴う売却は適用除外とすべきである。

(2)公開買付時に関する規制の見直し

(3)知る者取引(いわゆる「クロクロ規定」)について

(4)重要事実に関わるバスケット条項について

(5)業績予想開示における基準について

公表の在り方について
現行制度における「公表」とは、(1)2以上の報道機関に公表し、公表してから12時間経過した場合、(2)TDnetにより日本語で公衆の縦覧に供された場合、(3)プロ向け市場において英語で公衆の縦覧に供された場合等に限定されている。
我が国においても、ライブドア事件最高裁判決において、有価証券報告書の虚偽記載においては、「公表」については実質的に判断する見解が示されたことや、外国の例 #1 を参考に、公表の在り方について検討すべきである。

業務執行を決定する機関による決定の時期について
重要事実とされる「決定事実」に関して、いかなる意思決定がなされた場合に当該「決定」があったと見なされるかについては金商法166条2項1号において、「『業務執行を決定する機関』が…『決定』をしたこと」と規定されている。
しかし現行制度では、「業務執行を決定する機関」、「決定」の意味が不明確であり、その結果、会社は意思決定に至る相当早い段階から重要事実が発生しているかもしれないとの前提で情報の管理をしなければならず、過大な負担となっている。業務執行を決定する機関や、決定の時期について実務の参考となるようなガイドラインや事例集の公表等により、予見可能性の向上を行うべきである。

取得条項付新株予約権の付された新株予約権付社債の取得について
上場会社(発行体)が、取得条項付新株予約権(又はこれが付された新株予約権付社債。以下同じ)を取得事由の発生に基づき取得し、新たな有価証券等を交付することにインサイダー取引規制が適用されると、発行当初から発行体と引受者との間の合意により予定されていた取得事由に基づき当該新株予約権を取得することが不可能となる事態が生じうることとなる。その結果として、取得条項付新株予約権を設計・発行するに際し、予測できない将来の不安定要素として重大な制約要因となり、ひいては会社の資金調達に支障を来すこととなる。取得条項付新株予約権が取得事由の発生に基づき予め定められた条件で会社により取得されることが株式市場に悪影響を及ぼし又は他の一般投資者に不測の損害を与えるとは考えられない。
そこで、当該取得条項付新株予約権を恣意性のない取得事由の発生に基づき取得することは、インサイダー取引規制の適用除外とすべきである。

「特定有価証券の売買等」について
インサイダー取引規制の対象となる「売買その他の有償の譲渡もしくは譲受け」には、質権や譲渡担保権(以下、「担保権」)の実行も含まれるとされている。
しかし、担保権は、与信先に債務不履行状態が生じた際、債権を回収するために速やかに実行することが求められるものであるが、そのような局面において、担保権者が発行会社にかかる重要事実を知っていた場合には、当該情報が公表されるまで担保権を実行できない。
有価証券の担保適格性を高め、企業金融の円滑化を図る観点から、債務不履行に伴う担保権の実行については、処分時期等における恣意性を排除する手当てを講じつつ、インサイダー取引規制の適用除外とすべきである。

「業務上の提携又は業務上の提携の解消」について
「業務上の提携」について、現行制度では一般に明確な定義が存在しておらず、「業務上の協力関係を伴わない単なる資本提携や人事提携は含まれない」と解説されているにすぎない。
そこで、「業務上の提携」の定義について明確にするべきである。
また、軽微基準の中でも、子会社の株式取得の基準が5%とされているのは低きにすぎ、ビジネスの実態に合致したレベルまで引き上げるべきである。

インサイダー取引「バスケット条項」についてのまとめ
2017/04/03 金融法務, 金融商品取引法, 金融・証券・保険

(2)最高裁の判断
副作用症例の発生は、A社が有力製品として期待していた新薬に大きな問題があることを疑わせ、新薬の今後の販売に支障を来すだけでなく、A社の特に製薬業者としての信用を更に低下させて、同社の今後の業務の展開及び財産状態等に重要な影響を及ぼすことを予測させることから、本件重要事実は金融商品取引法第166 条第2項第4号に規定する「当該上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実」で「投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」であり、いわゆるバスケット条項に該当するとしました。
バスケット条項が適用されたインサイダー取引
金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~(pdf)(129~152ページ)
内部者取引防止規程事例集(pdf)インサイダー取引 (30ページ)

6 インサイダー取引に対する罰則

(1) 刑事罰
①インサイダー取引を行った行為者は5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科がされます(金融商品取引法197条の2)。
②法人の代表者や従業員等が法人の業務等としてインサイダー取引を行った場合には法人も処罰(両罰規定・重課)されます。具体的には5億円以下の罰金が課されます(金融商品取引法 207条1項2号)。
③犯罪行為により得た財産について必要的没収・追徴もありえます(金融商品取引法198条の2)。

(2) 課徴金
インサイダー取引を行った行為者の経済的利得相当額を課徴金として国庫に納付しなければなりません。(金融商品取引法175条)

企業法務ナビよりお知らせ

本記事は、 約5年前 に投稿された記事です。法律に関連する記事の特性上、法改正や特別法の施行、経過措置期間の経過、新たな条文解釈を示唆する判例の登場などにより、記事の内容と現在の法律運用・解釈との間に齟齬が生じている可能性もございます。何卒、ご注意ください。

弁護士が解説!どのケースが「インサイダー取引」の罪になる?

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そして情報受領者については会社関係者から重要事実の伝達を受けただけで足り、情報受領者自身の地位や当該会社との関係は問わないとされています。ですので、会社関係者から重要事実の伝達を受ければ「情報受領者」となりますので、例えば、接客中に会社関係者から重要事実を聞いたキャバクラのホステス、酔っぱらった会社関係者から重要事実を聞かされた居酒屋の店主、会社関係者の夫から重要事実を聞かされた妻であっても「情報受領者」にあたります。

ただし、「情報受領者」にあたるためには「伝達を受けた」ことが必要なので会社関係者に伝達意思があるとはいえない場合は「情報受領者」にはあたりません。例えば、会社関係者が会話しているのを電車の中で偶然立ち聞きした場合とか、その会社の前を通りかかった通行人が落ちていた会社の機密資料を拾って中身を盗み見てしまった場合などは「情報受領者」にはあたりません。

以上よりZ男はX部長から重要事実の伝達を受けて公表前にA社の株式を購入していることからインサイダー取引違反が成立します(Z男はV美の名義で株式を購入していますが、後述のとおりV美との共犯が成立します)。

(4)Z男のそのまた友人V美の場合

今まで検証してきたとおりA社のX部長が会社関係者であり、その友人Z男はXから情報の伝達を受けた一次情報受領者にあたります。では一次情報受領者からの又聞きという形で情報の伝達を受けた二次情報受領者であるV美もインサイダー取引の規制対象となるのでしょうか。

そこで二次情報受領者V美に対しては一次情報受領者Z男の共犯としてインサイダー取引違反を問うことが考えられます。インサイダー取引違反は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(金融商品取引法197条の2)ですのでれっきとした犯罪です。

したがいまして二次情報受領者にすぎないV美についても一次情報受領者Z男の共同正犯としてインサイダー取引が成立します

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