財務諸表の概要 と 貸借対照表の見方 を前回までお送りしてきましたが、今回は損益計算書の見方をご説明します。
貸借対照表が「ある時点の企業の財政状態」を表す財務諸表であるのに対して、損益計算書は「一定期間における企業の経営成績」を表す財務諸表です。企業は営業活動とそれに付随する活動によって利益を獲得しています。
売上からザックリ集計した費用を差し引いて「儲けはいくら」といったやり方を“ドンブリ勘定”といいますが、このやり方では利益を正しく測定することはできません。
経理部門では企業のすべての取引を複式簿記のルールにもとづいて、それらを売上に直接関係するものか、あるいは営業活動全般に関するものかなどを区分して、勘定科目という単位で集計し損益計算書を作成します。
では、損益計算書で計算される「利益」をみてみます。
利益の計算では獲得した収益からそのために支出した費用(コスト)を差し引いて計算していきます。売上高から純利益を計算するまでの流れをみていきましょう。
損益計算書(P/L)とは?見方やポイントをまとめて解説
損益計算書を見るうえで知っておきたいのが、損益計算書に計上されている収益や費用は、実際の収入・支出とは異なるというルールです。
損益計算書を見ると、記載されている利益の分だけ現金も存在しているように見えますが、会社の場合には、利益と同額の現金が同じタイミングで入ってくるとは限りません。
ビジネスをするうえでは、商品を販売した時に同時に現金を受け取ることはあまりありません。1か月分の代金を月末に集計してそれを取引先に請求し、さらに1カ月後に支払いを受ける…といった流れが一般的です。
たとえば商品を販売しても代金が未回収な場合、実際にはお金は入ってきていなくても、損益計算書では売上が計上され収益力に反映されることになります。
つまり「お金が入ってきた」という事実がまだなくても、「商品を販売した」という事実が反映されるようになっているのです。
したがって、損益計算書だけ着目していると、実際の資金繰りの状態が把握できなくなってしまいます。
商品は順調に売れていて、損益計算書上では「収益がアップしている」ように見えていても、実際には売上代金が未回収ばかりだったりすると、損益計算書上黒字にもかかわらず資金ショートを起こすいわゆる「黒字倒産」という事態に陥ってしまいます。
損益計算書と実際の資金繰りの状態は別だということはしっかりと念頭に置き、実際の資金繰りについては、「キャッシュフロー計算書」で確認するようにしましょう。
(4)売上原価は利益に大きく関わる
売上高は、会社の主な営業活動から生じる収益です。
そして売上原価は、売上高に直接かかわる費用で、売れた商品やサービスに関してかかった費用のことをいいます。
1番最初に出てくる収益である売上高のすぐ下に記載されているので、商品を売って純粋にいくら儲かったのかを知るに役立ちます。
ここで注意が必要なのが、「売上原価は、売れた分の原価だけ計上する」という点です。
売れずに残っている商品の原価は、この売上原価には入らず売れ残り商品の原価は貸借対照表の「棚卸資産」に入ります。
売上原価を見る時には、かならず併せて貸借対照表の「棚卸資産」もチェックしなければいけません。
損益計算書の5つの利益を詳しく見よう
損益計算書では、収益と費用の内容を段階的に表示していて、売上高からさまざまな費用を順番に引いている表であることは説明してきました。
利益 | 内容 | |
---|---|---|
① | 売上総利益 | 商品やサービスの力によって、稼いだ利益 |
② | 営業利益 | 会社の本業によって稼いだ実質的な利益 |
③ | 経常利益 | 営業活動以外の収益と費用を加味した経営活動の成果 |
④ | 税引前当期純利益 | 税金を引く前の利益 |
⑤ | 当期純利益 | 最終的な利益 |
(1)売上総利益
売上総利益は、損益計算書の1番上に位置する利益です。 売上高から売上原価を引いて計算します。
売上高とは、会社が稼いだ収益であり、売上原価は、商品や材料などの仕入をあらわす費用です。
Aさんの店の売り上げは、不況になる前までは月間150万円でした。ですが、不況によって、売り上げが30%減ってしまいました。この不況が回復するとは思えないので、次年度のPL計画はもう少し現実的なものにしたいなと思っています。彼女は、次年度は平均月間100万円売上をつくることができると予想しています。新学期が始まる3月や夏休み、冬休みの間はより売上が上がり、6月や11月は売り上げが落ちるだろうと言う予測です。
変数となる数字を予測する
粗利を予想する
例:Aさんは、月当たりの売り上げ100万円から、仕入れ代45万円を引いて、計算後の平均粗利は55万円だと予想しました。(純利益ではありませんのでご注意ください)
純利益を計算する
- 賃貸料
- 従業員の給料や社会保障費
- 役員の報酬が定額であった場合、役員報酬(ただし、利益の残り分を報酬にするなら変動費用に計上)
- 資材費用
- 電話代 損益計算書(PL)とは
- 保険代
- オフィスサプライ
- 広告
- 会計費、経理、税金など
- 賃貸料10万円
- 諸費1万円
- 労働力に月40万円(これにはパートのアシスタントの給与年額120万円と、自分の報酬300万円)
- 保険料1万円
- これで、定額経費は月50万円であるということがわかります。これを表にすると、
例:Aさんは一年分の売り上げ予想を立て、6月や11月の売り上げのへこみや、夏や、恒例の一番売れる月の12月の盛り上がりも盛り込みました。そして、月毎の可変経費45万円と定額経費55万円を使い、一月あたりの純利益を算出しました。表から、売上の悪い月は月当たり10万円を失うが、12月が終わるまでには取り戻せるだろうという予測を立てることができます。
この予想を作って、Aさんは、来年は新たな利益を期待することはできないと判断できます。しかも、予想売り上げが高すぎると、在庫が残ってしまい、自分の取り分の300万円もなくなってしまう可能性があります。Aさんの店は、赤字のままで経済が回復するのを待つか、店を閉めるか、判断をすることが必要な事態であると言えます。
例:Aさんは100万円の月額売り上げで、粗利が55万円なので、利益率は55%です。
ストック型ビジネスモデル
(参照:キャディ株式会社 / カスタマーエクスペリエンス 吉田 祐輔氏 「SaaS企業の管理会計って?SaaSの収益予測モデルをさくっと作ってみる(テンプレ付)」)
二つ目は、SaaS(サブスクリプション、Subscription as a Service)ビジネスの予想PLです。継続的な利用で、一回の商品の売り切りで終わらないという、時代に合って爆発的に増えている、新しい形態のビジネスモデルです。
「MRR」は、月ごとに繰り返し得られる収益、「月間経常収益」(Monthly Recurring Revenue)を指します。平易に言うと、サブスクリプション型課金の月次収のことです。
表にあるNew MRRは新規契約による増加分 、Churned MRRは解約された契約による減少分 、Expansion MRRは既存顧客へのアップセルやクロスセル等による増加分のことを指します。
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貸借対照表 Balance sheet BSと省略
損益計算書 Income statement PL(profit and loss)と省略
貸借対照表と損益計算書の関係
・期首貸借対照表 ⇒ 損益計算書(期中の企業活動) ⇒ 期末貸借対照表
貸借対照表項目例
損益計算書項目例
収益 Revenue | |
---|---|
日本語 | 英語 |
売上 | Sales |
受取利息 | Interest income |
費用 Expense | |
---|---|
日本語 | 英語 | 損益計算書(PL)とは
売上原価 | Cost of goods sold (COGS) |
給与手当 | Salaries, Wages etc. |
旅費交通費 | Travel, Commutation, Business trip etc. |
通信費 | Communication, Telephone, Postage etc. |
法定福利費 | Legal welfare |
福利厚生費 | Employees' benefit |
支払報酬 | Professional fees |
寄付金 | Donation |
損益 Profit and loss | 損益計算書(PL)とは |
---|---|
日本語 | 英語 |
当期(純)利益 | Net income | 損益計算書(PL)とは
当期(純)損失 | Net loss |
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損益計算書(PL)の見方と代表的な指標を解説| 経理を0から勉強するシリーズ 3
財務諸表の概要 と 貸借対照表の見方 を前回までお送りしてきましたが、今回は損益計算書の見方をご説明します。 損益計算書(PL)とは
貸借対照表が「ある時点の企業の財政状態」を表す財務諸表であるのに対して、損益計算書は「一定期間における企業の経営成績」を表す財務諸表です。企業は営業活動とそれに付随する活動によって利益を獲得しています。
売上からザックリ集計した費用を差し引いて「儲けはいくら」といったやり方を“ドンブリ勘定”といいますが、このやり方では利益を正しく測定することはできません。
経理部門では企業のすべての取引を複式簿記のルールにもとづいて、それらを売上に直接関係するものか、あるいは営業活動全般に関するものかなどを区分して、勘定科目という単位で集計し損益計算書を作成します。
では、損益計算書で計算される「利益」をみてみます。
利益の計算では獲得した収益からそのために支出した費用(コスト)を差し引いて計算していきます。売上高から純利益を計算するまでの流れをみていきましょう。
■営業損益計算までの手順
1. 売上総利益の計算
売上総利益=売上高-売上原価
売上高とは、会社の事業目的に沿った営業活動によって製品・商品・サービスなどを販売・提供することによって得られた収益の合計額です。
売上原価は、その販売商品を仕入れた原価(仕入原価)や製品を製造にかかった原材料費や外注費など(製造原価)の合計額です。
売上総利益は粗利(アラリと読みます)という言い方でも呼称されます。一般に、商社のように商品を仕入れて販売する企業の場合は売上総利益率が低く、メーカーのように製品を製造し販売する企業の場合には売上総利益率が高いといわれています。
※収益の認識基準について
通常、売上高などの収益は商品や製品の販売時点(納品時)に収益として認識します。ただし工事などの場合は、工事が完成した時点で収益を認識する基準(工事完成基準)や工事の進行に応じて収益を認識する基準(工事進行基準・出来高)などの例外があります。
2. 営業利益の計算
営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費
いわゆる営業経費は、商品・製品の販売やサービス提供などの営業活動にかかったコストを指します。そこから、その営業にかかった費用である「販売費」とその管理にかかった費用である「一般管理費」とに分けられますが、損益計算書では「販売費及び一般管理費」として区分されます。
営業利益は、どれだけその会社が本業で稼ぐ力を示しているものだといえます。
■経常損益計算までの手順
3. 経常利益の計算
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
経常利益は「ケイツネ」などと呼ばれることもあります。“営業外”とされる収益及び費用は、企業の事業目的に沿った主たる営業活動ではないものの、その取引が反復継続される取引が集計されるグループです。具体的には「受取利息・配当金」や「支払利息」などです。
ここで計算される経常利益は、本業だけではなく資産運用や財務状態といった企業の経常的な活動(突発的ではなく普段から行っているような活動)の成果を表すため、損益計算書上の中でも重要視される傾向があります。そのため、新聞などのニュースでも「○○自動車の経常利益が過去最高を記録」や「株式会社△△、為替の影響で経常損失に転落」などといった見出しになることがあります。
■利益確定までの手順
4. 税引前純利益の計算
税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失
特別利益や特別損失はここまでの計算区分には含まれない、すなわち、主たる営業活動から生じたものではなく、かつ、継続的・経常的に発生するものではない、文字通り“特別”な取引が区分されます。
具体的には、建物や車両などを売却した場合の固定資産売却益(損)や長期保有を目的としていた有価証券の売却時に発生する投資有価証券売却益(損)、税務調査時に指摘を受けた項目を修正するための過年度損益修正益(損)などが挙げられます。
5. 純利益の計算
当期純利益=税引前当期純利益-法人税、住民税および事業税
最後に計算される利益が当期純利益です。企業は、その獲得した利益に応じて法人税などの税金を負担します。その税額計算のベースが税引前当期純利益で、計算された税額を差し引いて当期純利益が計算されます。この当期純利益は「分配可能利益」とも呼ばれ株主への配当などの原資となります。
■損益計算書で収益力がわかる
では、貸借対照表同様、損益計算書もポイントとなる指標をいくつか見ていきましょう。
損益計算書ではその企業の収益力をチェックすることができます。
・売上総利益率と売上高原価率
売上総利益率 = 売上総利益/売上高 × 100
損益計算書(PL)とは 売上高原価率 = 売上原価/売上高 × 100
売上総利益率は、販売した商品・製品・サービスから売上原価を引くとどれだけの儲けがあったのかを表す指標です。その反対に売上高原価率は、販売した商品はどれだけの売上原価がかかっていたのかを示す指標です。
したがって、売上総利益=売上高-売上原価ですから、売上総利益率が30%であれば売上高原価率は70%となります。
先述したとおり、損益計算書では売上総利益以外にも営業利益や経常利益が計算されます。売上高営業利益率や売上高経常利益率も重要な指標です。数式は次の通りです。
売上高営業利益率 = 損益計算書(PL)とは 営業利益/売上高 × 100
売上高経常利益率 = 経常利益/売上高 損益計算書(PL)とは × 100
■ROAとROE
前回の記事 でも書きましたが、企業は企業活動の資金を外部から調達しています。調達した資金が効率よく活用されているかどうかは、利害関係者、とりわけ株主などの資金提供者にとっては重要な指標になります。
・ROA・・・総資産利益率(Return On Asset)
ROA = 当期純利益/総資産 × 100
総資産は外部から調達した資金と自己資本の合計で企業が調達した資金のすべてです。
ROAは利益を獲得するために企業の有する資産をどれだけ効率よく活用しているかを表す指標ですから数値が高ければ高いほど良いといえるでしょう。
・ROE・・・自己資本利益率(Return On Equity)
ROE = 当期純利益/自己資本 × 100
自己資本は株主資本と言い換えることができます。
ROEは株主から調達した資本でどれだけの利益を獲得したかを示す指標となります。
ROEを高めるためには、分母である自己資本が同じであれば当期純利益を高める必要がありますし、逆に、分子である当期純利益が同じであれば自己資本を減らす必要があります。
自己資本が減るということは、企業の根幹となる資本への安全性に問題が生ずる可能性があります。したがって、この指標が上昇しているとしてもどのような理由で上昇しているかを見極める必要があります。
ここまであげた指標は利益の獲得という観点でしたが、“回転率”という指標も重要です。
多くの企業は、不要な在庫をできるだけ持ちたくないと考えさまざまな対策を講じています。そのような対策が功を奏しているかどうかを「棚卸資産回転率」という指標でチェックすることができます。
・棚卸資産回転率
棚卸資産回転率 = 売上高/棚卸資産
この指標の単位は「回」です。
この数値が高いということは、棚卸資産が短期間に効率よく売上獲得につながっていると考えられ、在庫管理の有効性も裏付けられることとなります。「当社は在庫管理の効率改善を図っています」と主張する企業が、実際に在庫管理の業務改善が達成されているかどうかはこの指標を目安に確認することが可能です。
このように、損益計算書や貸借対照表からは企業のいろいろな“顔”や“体調”を推し量ることができます。ここまでご紹介した指標以外にもたくさんの指標があります。興味を持たれた方はぜひ書籍などで調べてみてください。
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企業の一定期間の収益・費用の状態を表す書類で、財務諸表のひとつである。英語のprofit and loss statement(プロフィット アンド ロス ステイトメント)の略語。
企業の財務状態や経営成果およびその変化を明らかにするために作成される報告書類をいう。 一般に決算書といわれているものがこれに相当し、毎会計年度ごと、あるいは半期、四半期ごとに作成、公表される。 また、報告の対象とする企業の捉え方に応じて、個々の企業ごとに作成される「個別財務諸表」と、支配従属関係にある企業グループ全体について作成される「連結財務諸表」とに分けることができる。 財務諸表を構成するのは、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)等である。これらの書類は、企業会計の慣行等にもとづき一定の規則に従って作成され、会計監査人などによって監査される。 財務諸表は相互に関連し合って企業財務の姿を表わしているため、その分析に際しては、少なくともPL、BS、CSのすべてを対象にすべきであるといわれている。
営業収益(売上高)
企業会計上の概念で、企業の一般的な営業活動から得られた収入をいう。 商品の売上高、サービスの料金収入などがこれに当たる。 損益計算書(PL)とは 売上げのためには資産が必要であり、営業収益(売上高)の総資産に対する割合(総資本回転率)は、資産の利用効率などを分析するときの基礎データとされる。 なお、営業収益は営業活動を発生源とすることが、営業外収益とは発生が経常的であることが、特別利益とは異なる。
企業会計上の概念で、企業が得る利益のうち、経常的な活動と直接には関係しない要因によって生じる臨時的な利益をいう。一方、同様の事情で生じる損失を「特別損失」という。 特別利益に該当するのは、固定資産売却益、投資証券売却益、関係会社株式売却益、償却債権取立益などであるが、経常性の有無は企業の業務実態に照らして判断される。 特別利益は、損益計算書において経常利益(損失)と分けて記載される。
企業の経常的な経営活動と関係せずに発生する一過性で臨時的な損失。 特別損失に該当するのは、不動産や有価証券等の売却によって生じた損失、火災や地震等の災害によって被った損失などである。 発生した費用が特別損失に該当するかどうかは、発生した事情、費用の性質等に照らして判断され、たとえば、主たる業務に不動産取引が含まれている企業にあっては、取引によって生じた不動産の売却損は特別損失ではない。 なお、前期決算の修正(前期損益修正)によって生じる損失も特別損失として計上される。
国税の一つで、法人の所得金額などを課税標準として課される税金をいう。 納税義務を負うのは、すべての国内法人(ただし、公益法人等や人格のない社団等については、収益事業を営む場合などに限る)および国内源泉所得がある外国法人である。 課税の対象となるのは、原則として各事業年度の法人の所得であり、益金と損金の差を一定の規則に従って算出して求めることとされている。その算出のための経理が税務会計であるが、連結の扱い、圧縮記帳などの特例、各種特別控除等々、税技術的な詳細な規定に従わなければならない。 また、税率は原則として一律(23.2%)であるが、一部特例がある。
企業の一時点の財産の状態を表す書類で、財務諸表のひとつである。BSは、英語のbalance sheet(バランスシート)の略。 左右に分かれていて、左側(借方)には資産が、右側(貸方)には負債と純資産とが計上されている。そして、資産の額は、負債額と純資産額の和と等しい関係にある。 BSの資産の部に計上されるのは、ア)流動資産(現金・預金、売掛金、商品・製品、貸倒引当金等)イ)固定資産(土地・建物、備品、投資有価証券等)ウ)繰延資産(開業費、新株発行費、社債発行費、開発費、試験研究費等)の額である。 また、負債の部に計上されるのは、ア)流動負債(買掛金、未払金、未払費用、短期借入金等)イ)固定負債(長期借入金、社債、長期前受収益等)の額である。 純資産の部に計上されるのは資産と負債の差額であるが、これは、ア)資本金イ)剰余金(資本準備金、利益準備金、その他の剰余金に区分)に区別される。 これらの額は、複式簿記の記録をもとに分類・計算され記載されている。 BSの作成方法は、企業会計原則によって定められている。また、株式会社は、BSを含む財務諸表を公告しなければならない。 いわば、企業の状態を財産のストックで捉えた書類といえる。一方、財務諸表のもう一つの構成要素であるPL(損益計算書)は、企業活動の状態を財務上のフローで捉えた書類で、両者が相まって企業の活動状態を定量的に示すこととなる。
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